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作品を考える上でときどき思いかえす文章があります。 

それらは美術評論の類ではなく、もっと身近な詩のような、 

好きな文章といったものなのですが、中でも特に印象深いもののひとつに、

 岡倉天心の「The Book of Tea」(茶の本)の中のつぎの一文があります。

 


“Let us dream of evanescence,

 and linger in the beautiful foolishness of things.”  

 

 "はかないことを夢もうではないか、

 そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらせようではないか。" 

      (浅野晃訳) 

 

 

〈the beautiful foolishness of things〉 を僕なりに言いかえると、 

それは、 この 〈ありふれた日常の地平における、“詩の状態” にあるもの〉

ということになります。  

  

そういったことの夢想に耽ることが僕たちの営みであり、 

そこで感受されたものの 記憶術 として作品があるのだと考えます。 

作品がそういった日常の地平の もう一方の斜面からの眺めになればと思います

 (2010.12月・記)

 

 

 


 大堀 能文 (おおほり よしふみ)   

 

 

 

1959年 愛媛県に生まれる

       幼少期を瀬戸内海の3つの島々で過ごす
1982年 多摩美術大学油画科卒

       現在、千葉県在住

 

 

[片々録] http://blog.goo.ne.jp/sonzaikyogaku